特定技能制度と介護、試験について

特定技能の資格を取得し、日本で介護の仕事をしてみませんか?

在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性や技能を持つ外国人材に対して介護を含む14業種で就労を認める在留資格として、2019年4月に新設されました。特定技能には1号と2号がありますが「介護」は1号のみとなります。

特定技能1号介護とは?

特定技能1号介護の取得に関して学歴は必要なく、18歳以上であれば、どんな人でも申請可能ですが、介護の特定技能1号の在留資格を取得するには、一定以上の介護の技能を有することを確認するため「介護技能評価試験」を受験し、合格することが必須です。また、日本語の能力をはかる「国際交流基金日本語基礎テスト」の合格又は「日本語能力試験(N4以上)」であることに加えて、介護業務を行うために必要な日本語の能力をはかる「介護日本語評価試験」を受験し、合格することが条件となっています。

家族の帯同(家族が一緒に日本に来ること)は基本的に認められておりません。

日本で働ける期間は基本1年で、6か月または4か月ごとに更新することができ、通算で上限5年まで延長可能です。ただし、5年の間に介護福祉士の資格を取得した場合は、在留資格を変更すれば、ずっと働くことができ、家族の帯同も可能となります。

就職先は、希望する場合は受入れ機関または登録支援機関によるサポートがあるので、ご安心ください。もし、転職する場合は、同じ介護の職種であれば別の会社に転職することもできます。

介護職種の特定技能評価試験は「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」、日本語能力水準を測る試験の3つの試験からなります。介護技能評価試験と介護日本語評価試験は、介護現場で活用する専門的な技能や日本語能力を測ることで、各分野で即戦力となれるレベルを基準として定められています。日本語能力水準は国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上が要件)によって測られます。

下記の3つの試験について順番にご説明します。

①国際交流基金日本語基礎テスト(Japan Foundation Test for Basic Japanese, 略称:JFT-Basic)又は日本語能力試験N4以上

②介護日本語評価試験

③介護技能評価試験

国際交流基金日本語基礎テスト

国際交流基金日本語基礎テスト(Japan Foundation Test for Basic Japanese, 略称:JFT-Basic)は、主として就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定することを目的としています。

テストは、「文字と語彙」「会話と表現」「聴解」「読解」の4セクションで構成されています。テストの設問は英語で表示されておりますが、Your Languageボタンをクリックすると、現地語で設問を読むことができます。

テストの詳細ならびにテスト画面の実際の操作について詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

●サンプル問題はこちらをご覧ください。

CBT形式の問題例で各カテゴリーの出題形式、内容、レベルイメージを確認できます。

※実際のテストの問題画面とは異なる点があります。

日本語能力試験

日本語能力試験は、日本語を母語としない人たちの日本語能力を測定し認定する試験です。日本語能力試験にはN1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルがあります。いちばんやさしいレベルがN5で、いちばん難しいレベルがN1です。特定技能1号介護においては、基本的な日本語を理解することができる程度の日本語能力試験N4レベル以上が要件とされています。

各レベルの認定基準を確認するには、こちらをご覧ください。

●N4の問題例は下記をご確認ください。
●試験の実施日ならびに開催場所についてはこちらをご確認ください。

介護日本語評価試験

介護日本語評価試験は、介護の仕事で使われる言葉が理解できるかどうかを確認するための試験です。試験時間は30分、試験問題数は15問となっており、介護のことば(5問)介護の会話・声かけ(5問)介護の文書(5問)の問題が出題されます。

●サンプル問題はこちらです。

介護技能評価試験

介護技能評価試験は、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベルの水準を求めるための試験です。試験時間は60分、試験問題数は全45問となっており、学科試験40問と実技試験5問で構成されています。

学科試験:40問 内訳
・介護の基本(10問)
・こころとからだのしくみ(6問)
・コミュニケーション技術(4問)
・生活支援技術(20問)

実技試験:5問
・判断等試験等の形式による実技試験課題を出題
(注)写真等を提示して、正しい介護の手順等についての判別、判断等を行わせる試験

●サンプル問題はこちらです。
●試験の全体概要の詳細については下記のリンクも参考にしてください。

試験が免除される場合について

EPA(Economic Partnership Agreement)の枠組みにより来日した介護福祉士の候補者(インドネシア、フィリピン及びベトナムのみ該当)として入国し、4年間にわたり介護施設等で就労・研修に適切に従事した者や、「技能実習2号」を修了した外国人においては、必要な技能水準及び日本語能力水準を満たしているものと判断され、前項でお伝えした技能試験や日本語試験は免除され、「特定技能1号」へ移行することができます。なお、介護以外の「技能実習2号」を修了した外国人においては、日本語能力水準を測る試験の一部が免除されます。(「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」は、受験する必要があります。)

●EPA介護福祉士候補者についてはこちらをご覧ください。

介護日本語評価試験と介護技能評価試験の申込方法

厚生労働省のホームページで特定技能制度について紹介しており、受験申込手続についてご案内しています。(試験を実施するプロメトリック株式会社のホームページはこちらです。)

※各試験会場の詳細については、以下の「試験会場リスト」をご参照ください。海外試験の試験会場は受験したい国を選択後、詳細をご確認ください。

※試験日程は随時更新されます。最新情報にアクセスするために、URLを開いた後に各自でページの更新をしていただくことをおすすめいたします。

特定技能1号介護の在留資格を得るための試験勉強としては、テキスト等を使って自分で勉強する方法のほか、日本語学校へ入学して勉強する方法があります。この記事では主に自分で勉強する方に向けて、おすすめのテキストやウェブサイトをご紹介します。

日本語の勉強方法

特定技能に関する試験勉強だけでなく、日本で生活する際にも日本語は必要なスキルのひとつです。日本で仕事をしている外国人の皆さんに、日本語をどのように勉強したのか聞いてみたところ、「日本のアニメを見ながら、アニメに出てきた日本語の言葉をノートに一つずつ書いて覚えて日本語の勉強をしました」(インドネシア出身のDIOさん)と答えてくれました。

国際交流基金は、JFT-Basic受験準備に役立つ、以下のような教材を提供しています。すべて無料ですので、日本語学習にご利用ください。

いろどり 生活の日本語

日本語コースブック『いろどり 生活の日本語』  は、外国の人が日本で生活や仕事をする際に必要となる、基礎的な日本語のコミュニケーション力を身につけるための教材です。

日本での生活に即したさまざまな場面や題材を扱っており、実際に用いられるであろう日本語のコミュニケーションを効果的に学べます。各課の学習目標をCan-doの形で提示し、その課の学習で「できる」ようになることを明確にしています。

JFにほんごeラーニング みなと

さまざまな日本語オンラインコース(年間約150コース)を提供する国際交流基金の日本語学習プラットフォームです。登録をすれば、いつでもどこでもインターネットを通じて日本語が学べます。その他の日本語学習Webサイトやアプリへのリンクもあります。

介護技能評価試験と介護日本語評価試験の受験対策テキスト

公益社団法人 日本介護福祉士会が作成した、介護分野の特定技能1号の評価試験に対応する学習用テキストもぜひ活用してみてください。日本語版の他、10カ国の言語に翻訳されています。テキストは、介護技能評価試験と介護日本語評価試験の受験対策として活用されることに加え、実際に働く介護現場でも活用できる内容になっています。

介護の特定技能評価試験学習テキスト

介護の日本語を学べる「にほんごをまなぼう」WEBサイト

公益社団法人 日本介護福祉士会が運営する「にほんごをまなぼう」オンライン学習サイトは、介護の現場で必要となる基本的な介護スキルや⽇本語(N3程度)を⾝につけることを⽬的としてつくられました。無料で学ぶことができますので、こちらもぜひご活用ください。

国際介護人材支援Webサイト 「にほんごをまなぼう」

海外の方が安心して来日し介護の仕事ができるよう、日本国、地方自治体、業界団体、施設などにおいてさまざまなサポートを提供しています。介護の仕事に関するサポートだけではなく、言葉の問題や生活の基盤まで幅広く充実したサポートを提供しています。

10の支援項目(2021年8月時点)

日本で2019年4月に新設された在留資格「特定技能」では、特定技能1号の外国人を受入れる際、日本側の受入機関に支援計画の作成を義務付けています[1]。その支援計画の中で、10の必須支援項目を設定しています。この項目の概要は下記の通りです。

1. 事前ガイダンス
2. 出入国する際の送迎
3. 住居確保・生活に必要な契約支援
4. 生活オリエンテーション
5. 公的手続等への同行

6.  日本語学習の機会の提供
7. 相談・苦情への対応
8.  日本人との交流促進
9.  転職支援(人員整理等の場合)
10. 定期的な面談・行政機関への通報

外国人介護職員に活躍してもらうための3つの支援

2019年度(Fiscal Year 2019) 厚生労働省 老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の受入れ 実態等に関する調査研究事業[2]」において作成されたガイドブックから、海外の方々を日本に受入れる際のポイントについて一部抜粋します。皆様が日本に来て活躍できるように、事業者に対して示しているものです。

1.職場での定着支援(一例) 
日本の事業所では、海外の方々が安心して職場で長く働けるように色々な準備を進めています。例えば、

  1. 海外の方々の受入れ目的を予め職員で共有するようにしています。
  2. 介護業務の標準化や言葉の使い方の見直しをおこなうようにしています。
  3. 日本の職場での基本的なルールを教えようとしています。
  4. 外国人介護職員の文化や生活習慣を理解するようにしています。

[2] 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 「外国人介護職員の受入れと活躍支援に関するガイドブック」Mitsubishi UFJ Research & Consulting Co.,Ltd. “Guidebook for Accepting and Supporting Foreign Care Workers”

2.  生活基盤を整える支援(一例)
日本での生活に一日も早く馴染めるよう、職場のみならず生活面においても、事業所はサポート体制の構築を進めています。例えば、

  1. 住まいの提供や契約の支援、家具・家電などの貸与、携帯電話の手続き支援やインターネット使用環境の整備など、生活必需品をそろえるための支援をしようとしています。
  2. 食事や買い物の仕方、 トイレやお風呂の使い方、病院のかかり方や薬の購入方法、電車やバスの乗り方、ゴミ出しのルールや騒音のマナーなどを教えようとしています。
  3. ビザの手続きや住民登録、健康保険への加入や支払いなどの支援をしようとしています。
  4. 体調の確認やメンタル面のサポートを手厚くしようとしています。

3.  地域社会になじむ支援(一例)

また、海外の方と事業所周辺の地域との関係づくりも進めようとしています。例えば、イベントに近隣住民を招いたり、地域の行事に外国人職員が参加したりするようにしています。

さまざまな公的支援サービス

外国人介護職員が利用できる支援サービスの一部をご紹介します。日本に来ても安心して働けるよう、さまざまな支援サービスが提供されています。

公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS)

外国人介護人材が、日本の介護現場を魅力的なものに感じ、経験や能力を十分に発揮し、安心して就労に取り組んでもらえるような支援を提供しています。

外国人介護人材同士の交流機会の提供をはじめ、外国人介護人材の介護業務に関する就労上の悩み、日常生活上、社会生活上の悩みに関する相談などを受け付けています。

公益社団法人 日本介護福祉士会

日本の介護を学び、現場で働く外国人のための総合プラットフォームとして、日本語能力の向上、介護現場で必要とされるスキルの習得をしっかりとサポートしていきます。 学習において高い効果を発揮するためには、何よりも学習者自らが自律的に取り組むことが不可欠です。 その環境を提供するのが「にほんごをまなぼう」です。 日本語能力(N3レベル)や基礎的な介護技能を身につけることを目的としています。 また、各種試験対策や指導者向けコンテンツ、更にはSNSによる情報共有、ユーザー同士のコミュニケーション(つながり)の場を提供します。「介護の日本語」や「介護の特定技能評価試験」の学習テキストも閲覧できます。

言語は日本語のほか、英語・クメール語・インドネシア語・ネパール語・モンゴル語・ビルマ語・ベトナム語・中国語・タイ語の9カ国語で作成しています。