訪問系サービスを行うためには?

2025年4月から、技能実習制度や特定技能制度で介護の仕事をしている外国人が一定の条件のもとで訪問系サービスをできるようになりました。
この記事では、

  • 訪問系サービスとは何か?
  • 訪問系サービスをするために必要な条件
  • 訪問系サービスをする際に気を付けるポイント
  • 日本政府等からのサポート

について分かりやすく説明します。

Contents:

1. 訪問系サービスとは?

訪問系サービスとは、介護職員が一日のうちに複数の利用者の家に行って、1対1で介護をすることです。施設での介護とは違い、利用者が自分の家で生活を続けられるように支援します。
訪問系サービスでは、利用者ひとりひとりの身体の状態や家での生活に合わせた介護が必要になります。また、利用者やその家族の生活習慣等も考えながら、ケアマネジャーなど色々な職種の人々と協力して支援をする必要があります。

 

2. 訪問系サービスをするために必要な条件

外国人介護人材が訪問系サービスを行うためには、次の1)~3)のような条件があります。

1) 受入事業者が必ず行うこと(5つの遵守事項)

外国人介護人材が安心して訪問系サービスを行うことができるように、受入事業者は次の5つを必ず行う必要があります。

①外国人介護人材への研修実施

外国人介護人材が一人で訪問系サービスができるようになるまで、受入事業者は、次のような研修を行います。

  • 訪問系サービスの基本事項(業務の流れ、基本動作、プライバシー保護、ハラスメント対策、虐待防止等)
  • 生活支援技術(調理、掃除、ゴミ出し等)
  • 利用者、家族や近隣とのコミュニケーション(傾聴、受容、共感などのスキル)
  • 日本の生活様式(文化、風習、習慣、訪問先でのマナー等)
  • 緊急時の対応(連絡先、対応方法等)
②同行訪問等によるOJT

外国人介護人材が訪問系サービスを一人で正しくできるように、一定期間、サービス提供責任者や先輩職員などが同行します。サービス提供責任者や先輩職員の仕事ぶりの見学から始まり、少しずつできる仕事を増やしていくなど、段階ごとに教えてもらいます。
同行の回数や期間は、利用者や外国人介護人材の状況に合わせて受入事業者が判断します。

③外国人介護人材の意向確認、キャリアパスの構築等

受入事業者は、外国人介護人材と一緒に「キャリアアップ計画」を作ります。キャリアアップ計画には、外国人介護人材がこれからのキャリアの希望や目標、計画などを書いて、外国人介護人材本人と受入事業者の担当者がサインして共有します。

④ハラスメント対策

訪問系サービスでは利用者と1対1で介護をするため、ハラスメントが起きても気付くのが難しいことがあります。そのため、受入事業者は必ず次のようなハラスメント対策を行います。

受入事業者が必ず行うこと:
  • ハラスメントを未然に防止するための対応マニュアルの作成・共有
  • 管理者等の役割の明確化
  • ハラスメントが発生した場合の対処方法等のルールの作成・共有
  • 利用者やその家族等に対する周知
  • 外国人介護人材が相談できる窓口の設置やその周知
⑤ICTの活用等による環境整備

受入事業者はICT(スマートフォンやアプリなど)を使うなどして、外国人介護人材が働きやすい環境を作る必要があります。また、訪問先で予想できない問題が起きた時に正しく対応できるようにすることも大切です。ICTを使うと、仕事がしやすくなります。緊急の時もすぐに連絡することができ、トラブルがあっても何が起きたか後で確認することができます。

受入事業者が必ず行うこと:
  • 緊急時の連絡先や対応フローなどをまとめたマニュアルの作成
  • 緊急時を想定した研修の実施
  • 緊急時に他の職員が駆け付けられる体制の確保
  • サービス提供記録や申し送りについて職員全員で情報共有する仕組みの整備
ICTツールの例:
  • コミュニケーションツール:多言語翻訳機、コミュニケーションアプリ
  • 業務効率化ツール:見守りカメラ、記録ソフト(音声入力、多言語翻訳)、インカム
  • 学習ツール:日本語や介護技術の学習教材

2) 外国人介護人材に必要な研修・実務経験

外国人介護人材が訪問系サービスの仕事をするためには、次のことが必要です。

①「介護職員初任者研修」を修了すること

※障害福祉サービスで働く場合、それぞれのサービスに必要な研修を修了する必要があります。

②介護事業所などで働いた経験が1年以上あること

※働いた経験が1年未満の外国人介護人材が訪問系サービスの仕事をする時は、次の2つのことが必要です。
(1) 日本語能力試験N2などの高い日本語能力があること
(2) 利用者ごとに、サービス提供責任者や先輩職員の同行訪問を次の期間行うこと。

  • 利用者に対して、週1回サービス提供を行う場合の同行訪問の期間:6か月間
  • 利用者に対して、週2回サービス提供を行う場合の同行訪問の期間:3か月間
  • 利用者に対して、週3回サービス提供を行う場合:2か月間

※利用者と家族が同意した場合、見守りカメラなどを使って事業所といつでも連絡できるようにすれば、同行訪問の期間を短くすることができます。
※ただし、利用者や家族との信頼関係を構築し、利用者の特性に応じたサービス提供を行うために、同行訪問は2か月以上とし、それ以上の同行訪問期間の短縮は認めておりません。

3) 利用者・家族への説明

外国人介護人材が利用者の家に行って介護をする可能性がある時は、受入事業者は利用者と家族に次のことを書類で説明し、利用者または家族の署名をもらう必要があります。

説明する内容:
  • 外国人が家を訪問すること
  • 外国人がどのくらい介護の仕事をしているか
  • ICTツールを使う場合があること
  • 事業所の連絡先

 

3. 訪問系サービスを行う時に気を付けること

1) 生活援助のみの仕事はできません

技能実習制度や特定技能制度の目的は、介護の専門的な技術を学ぶことです。そのため、食事、入浴、排泄の介護など、身体介護の仕事を中心にする必要があります。掃除や買い物、料理などの生活援助の仕事だけを行うことはできません。

2) 車の運転

訪問系サービスでは、利用者の家に行くために車やバイクを使うことがあります。車やバイクに乗るときは、日本の運転免許が必要になります。また、日本の道路交通法に従い、交通ルールを守って運転してください。出入国在留管理庁のホームページで「生活・就労ガイドブック(https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/guidebook_all.html)」を公開しています。日本での運転についても詳しく書いてありますので、確認してください。

 

4. 日本政府からのサポート

日本政府は、外国人介護人材が安心して訪問系サービスができるよう、さまざまな支援を行っています。

1) 巡回訪問

訪問系サービスを行う受入事業者がルールを守る体制があるか、日本政府が委託した機関がチェックを行います。受入事業者がルールを守れることが確認できれば、外国人介護人材ひとりひとりに「適合確認書」を発行します。なお、外国人介護人材が実際に訪問系サービスに従事できるのは、「適合確認書」の発行がされた後からになりますので、ご注意ください。
日本政府が委託した機関は、「適合確認書」が発行された受入事業者を訪問し、事業所の責任者や外国人介護人材から話を聞いて実際にルールが守られているか確認します。ルールが守られていない場合には必要な指導を行います。それでも問題が解決されない場合には「適合確認書」を取り消すこともあります。

2) 相談窓口

日本政府は、外国人介護人材が困った時に相談することができる相談窓口を設けています。訪問系サービスの仕事をしている時に相談したいことがあったり、困ったことが起きたりしたときに自分の国の言葉で相談できるよう、色々な言語に対応しています。

3) キャリアアップのための支援

日本政府は、介護職員初任者研修を受けるための支援や、介護福祉士の国家資格を取るための支援など、外国人介護人材がスキルアップできるように、さまざまな支援をしています。

 

5. まとめ

2025年4月から、技能実習生や特定技能外国人も訪問系サービスの仕事ができるようになりました。訪問系サービスでは、利用者と1対1で仕事をするため、介護が必要な人のことをよく理解できるようになります。また、施設での介護ではしない仕事もするため、できる仕事が増えてスキルアップにつながります。
また、今後どの国でも高齢化が進み、家で介護を必要とする人が増えることが予想されるので、日本の訪問系サービスを経験することで、自分の国に帰った後も、その経験を活かすことができます。
訪問系サービスは、日本の介護をより深く学べる良い機会です。チャンスがあればぜひチャレンジしてください!