介護職員の生活

介護職員の生活

介護職員として日本で働くと、どんな一日を過ごし、どんな仕事 をするのでしょうか。介護の現場で働いた経験のある方々に、介護職員としての生活をインタビューしました。介護施設のサービスは24時間対応になることもあるので、働く仕事の種類によっては夜勤などをしなくてはなりません。それでも、忙しい仕事の合間に、皆さん介護の勉強や日本語の勉強もしっかりやられているようです。

Contents:

一日のスケジュール [1]

多くの介護職員が、朝の8時30分ごろに出勤して、夕方の17時30分ごろに仕事を終えています。働く施設(職場)によっては、早番や遅番といった仕事のシフト制もあるようです。施設で働く介護職員のある一日のスケジュールを見てみましょう。

[出典]三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社 「外国人介護職員がいきいきと活躍できる職場づくりとは?」

Jさん(フィリピン)のある一日(日勤)

7:30 起床
8:50 チームノート確認、朝礼、申し送り
9:15 おむつ交換、離床の介護
10:00 水分補給、レクリエーション
11:00 昼食準備、カルテの記入
11:45 配膳、食事の介護
12:00 休憩(昼休み)
13:00 口腔ケア、トイレ誘導の確認
14:00 離床の介護、おむつ交換
15:00 おやつの準備、食事の介護、トイレ誘導
16:00 カルテの記入、夕食準備、おむつ交換
17:20 勤務終了
22:00 就寝

Cさん(ベトナム)のある一日(デイサービス)

8:00 自宅を出発、バス通勤
8:30 朝礼、利用者の送迎
9:30 血圧・体温測定、入浴の介護
12:00 休憩(昼休み)
13:00 帰宅する利用者の支度
13:30 レクリエーション
15:00 おやつ
15:30 トイレ誘導・支援、利用者の送迎
16:30 片付け、記録
17:30 勤務終了
18:00 帰宅

朝出社してまずやる仕事は記録を読むことです。前日や夜間における利用者の状態を把握し、何か変化がないかを確認することから一日が始まります。日本の兵庫県の施設で働いていたベトナムのMs. HOANG THI NGOC ANHさんは、午前と午後に最も時間のかかる仕事を教えてくれました。

「午前中にもっとも時間のかかる仕事は排泄の介護です。トイレ誘導やおむつ交換を行います。午後にもっとも時間のかかる仕事は入浴の介護です。だいたい1時間から4時間くらいかかります。」

また、入所型の施設では、介護は24時間体制でおこなわれるため、夜勤の仕事もあります。少ないスタッフで対応しなくてはならない責任のある仕事です。

Cさん(フィリピン)のある一日(夜勤)

16:15 勤務開始、申し送り
17:15 夕食の準備
17:45 食事の介護、下膳、トイレ誘導
19:20 休憩(夕食)
20:00 臥床の介護、おむつ交換
20:30 夜勤業務(記録の記入等)
23:00 フロア待機(ナースコール対応等)
23:30 休憩
1:30 おむつ交換
3:00 巡視、おむつ交換
5:00 朝食の準備、離床の介護
7:30 配膳、食事の介護、下膳、トイレ誘導
9:20 勤務終了

[1]三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 「外国人介護職員の受入れと活躍支援に関するガイドブック」Mitsubishi UFJ Research & Consulting Co.,Ltd. “Guidebook for Accepting and Supporting Foreign Care Workers”

 

 

楽しい仕事は?

インドネシアのMs.Riswantiさんは楽しかった仕事を次のように言っています。「一緒に歌を歌ったときに「上手だね」と褒められました!また、興味を持っている話題で話が盛り上がった時は楽しいひと時を過ごせます。例えば、猫が好きな利用者に猫の話をしたり、歌が好きな利用者に歌を教えてもらったり、一緒に歌を歌ったりすることです。」

また、岡山県の介護施設で働いていたMr.Albert Fernandezさんは、高齢者の方々と楽しく仕事をするコツを教えてくれました。「高齢者さんとうまく話をするには、3つのトピックがあります。①天気 ②食事 ③睡眠状態。その3つのトピックで楽しく仕事を進められると思います。また、その3つのおかげで利用者さんの健康状態もなんとなく理解できます。」

皆さん、楽しく仕事をするために、上手なコミュニケーションを心掛けているようです。

 

大変な(難しい)仕事は? 

人によって難しい仕事の種類は変わりますが、「入浴の介護」と「移動の介護」が大変な仕事としてよく聞かれます。入浴の介護では、転倒の危険性があるため注意が必要となります。また、自分では立ち上がれない高齢者をベッドから車いすに移す移乗の介護は時間も筋力も必要です。

また、1人でできるようになるまでに時間のかかった仕事は「リーダーの仕事」「夜勤の仕事」「入浴の介護」などが挙がっています。ただし、真面目に仕事を覚えることで「3か月後に夜勤を1人でしていた」という方や「ボディメカニクスを研修で習い、移動・移乗の介護に役立てた」という方もいらっしゃいます。皆さん、工夫と勉強をしながら難しい仕事をこなされているようです。

 

介護資格や日本語の勉強をする時間はあるの?

日本で介護職員として活躍している海外の方々は、仕事をしながらも、介護の資格取得に向けた勉強や日本語スキルの向上に向けた取組みを毎日しっかりおこなっています。「介護の試験に合格するため、毎日勉強していました。少なくとも1日に2時間くらいです!」と教えてくれたのは、ベトナムのMs. HOANG THI NGOC ANHさんです。

また、働く施設によっては、さまざまな研修プログラムを提供しています。フィリピンのMr.Albert Fernandezさんが働いていた岡山県の介護施設では「1週間に1回ずつ、介護の先生と介護の勉強、日本語の先生と日本語の勉強」をしていたそうです。

日本語についても教科書で勉強する以外に「日本人と積極的に会話をしたり、映画やアニメから新しい言葉を覚えました」、「日本語は本で勉強したり、テレビを見たり、歌を歌ったりして覚えました。分からない漢字や言葉があればメモして暗記するようにしていました。」と皆さん忙しい時間の合間に工夫して勉強されているようです。